2006年5月19日金曜日

渡辺保の劇評 5月国立劇場

もっともうまいのは「人は知らず宗五郎が」からの長ぜりふである。ここも菊五郎型とは違うが「実に妹のおかげにて」や「うかび上がった親兄弟」のあたりは、渋く押さえて、引き締まった芸で聞かせる。 今度の宗五郎は抑えるところは十二分におさえて、枯れた芸になっている。ことにいよいよ暴れだしてから「矢でも鉄砲でももって来い」を口の中でいうところがうまい。若い人に真似られると困るが、独特である。この狂気の凄まじさ、大きく笑う明るさ、しかも暴力的で、正体のない他愛のなさが、この人の特色である。(2006年5月国立劇場)



魚屋宗五郎が大変良いとのことです。「枯れた芸」という言葉がぴったりです。