2006年8月15日火曜日

渡辺保の劇評 8月歌舞伎座

三津五郎の犬山道節と綱干左母二郎の二役早替りが滅法な上出来である。 これまで大百の座頭役の道節と色悪の左母二郎というまるで毛色の違う二役をかわって見せたのを見たことがない。その早替りが水際立ったうまさである。ドロドロで左母二郎を火定の戒壇に引き込むと、すぐいつもの道人姿にかわって吹き替えの左母二郎を引きすえてのセリ上げ、ポンと左母二郎を斬ってのせりふのかわりよう。同じく村雨丸を見込むところが二役どちらにもあるがそれを世話と時代にかえて見せる具合。舞台の雰囲気がガラリと変わって面白い。(2006年8月歌舞伎座)

渡辺保さんの劇評が出ました。



3部と1部を観て、2部はこれからですが、「駕屋」が早く観たくなりました。



「八犬伝」の三津五郎はセリフの言い廻し、間が絶妙で、座頭としての風格、芸の確かさを感じました。



「丸橋忠弥」は芝居の内容より、立ち廻りの場が見終わって印象に残りました。芝居の面白みは残念ながら伝わりませんでした。



「たのきゅう」は私はなかなか楽しくみました。これは大人が観てどうこうという舞踊劇ではなく、子供が観て楽しめるように作ったのだと思います。NHKの子供番組に出てくるような舞台美術で、今のお子さんには自然に物語に溶け込んでいけると思います。途中で小吉君の初舞台の口上が入りますが、三津五郎さんの話しを聞きながら故吉弥さんの舞台が想いだされ、涙しました。(2004年3月、歌舞伎座:すし屋で仁左衛門の権太に吉弥の父弥左衛門・・・頭を掻きむしるように、倅の死を悔んでいる姿があまりにリアルで忘れられません。)