2007年1月21日日曜日

第203回柝の会セミナー 尾上菊十郎・織田紘二対談

国立劇場「梅初春五十三駅」鑑賞の後に、伝統芸能情報館レクチャー室で、第203回柝の会セミナー 尾上菊十郎・織田紘二対談が行われました。



織田紘二さんが聞き役で、菊十郎さんがお答えするという感じでした。



以下に、お話の内容をまとめてみます。



立師の仕事は主に二つある。一つはタテを付ける仕事。もう一つはだんまりの動きを付ける。後者は難しい、登場人物の交錯、小道具の行方、役者の位取りを考えて付けなければいけない。



菊十郎さんは昭和7年の生まれで、13歳頃六代目菊五郎の弟子に入門する。最後のお弟子さんになった。良い役者になりたくて弟子になったが、師匠に立ち回りの拙い奴に良い役者はいない、トンボがきれなくちゃダメだ。といわれトンボを一生懸命稽古した。



戦後、戦死した人や行方が分からない人などがいて、トンボのできる人が少なかった。八重之助さんが当時の立師で、菊十郎さんは彼に習った。



織田さんが「六代目という人は一言でいうとどんな人でしたか?」と聞くと、菊十郎さんは「芝居のバイブル」と答えました。



そして、六代目のお話が続きます。織田さんが国立に入った頃、松緑、梅幸、多賀之丞、八重之助さん達が楽しそうに話している、それが8割がた六代目の話しだったそうです。



六代目はライバルでもある初代吉右衛門のことをたいそう褒めていたそうです。「髪結新三」の弥太五郎源七を波野がやってくれるから、新三が演れるんだ。と言っていたそうです。



教え方が科学的というか、筋肉の動きとか理屈にあっている教え方であった。



菊十郎さんは立師だけでなく、「髪結新三」の鰹売りとか、「暗闇の丑松」の三助なども素晴らしい。こういう脇の役が大事で、伝えていって欲しい。


今月の御殿山の立ち回りは「華」になっている。かつての弁天の大屋根の立ち回り、八犬伝の芳流閣、蘭平の立ち回りもすばらしかった。


話しは当代七代目菊五郎の話題になる。


この所復活狂言を沢山手がけているが、七代目の力はすごいと思う。座頭芝居の作り方というものを勉強した。とにかく4日間の稽古で初日前日の舞台稽古1回しか合わせないで初日となる。テレビの生中継が入るので大変である。


初日から今日まで、毎日どこか変わっている。ああしたほうが良い、こういう風にしたら、とみんなが菊五郎に言いにきて、次の日に実行というスピード。


今回の「化け猫」の話題になる。梅幸が「有馬の猫」を演った時に吹き替えを八重之助さんがして、菊十郎さんは後見でずっと上にいて補助をしたりしていた。ほぼ同じようなことを、尾上辰巳さんがしている。

トッピクス!


今月の国立劇場優秀賞は尾上辰巳さんだそうです。


オメデトー!

まとめとして、脇役がしっかりしていて、脇役が生き甲斐を感じる、又働きがいのある芝居を作っていかなくてはいけない。


辰巳さんのように活躍してくれる人、そして活躍できるような芝居作り、菊十郎さんには引退どころか、これからも後進の指導をよろしくお願いしますということで、対談は終わりました。