2007年1月16日火曜日

渡辺保の劇評2007/1国立劇場

さて、本公演第一の収穫は、四幕目から大詰へかけての菊五郎の吉原宿の飯盛女小夜衣お七の悪婆ぶりである。 江戸時代以来の伝統的な悪婆役―――土手の六やうんざりお松とは一味違って、八百屋お七を当て込んだところが菊五郎のニンにはまって、入早山の花道の出に駕籠かきを煙草を吸いながらあしらうところから弁長を海へ蹴落とすまで。あるいは吉原宿富士ヶ根屋で、菊之助の吉三をくわえ込んで、権八に駕籠抜けをさせ、櫓太鼓を打つまで。存在感があって新しい現代の悪婆をつくった。(2007年1月国立劇場)

このお芝居をみて当代菊五郎は正しく「兼ねる役者」だということが納得できました。



ずっと立役できて、女形も兼ねる、ではなく、最初は女形で立役が多くなったという経歴故に、今回のお七のように色っぽい悪婆が似合うのでしょう。