2007年7月18日水曜日

海老蔵の与兵衛と仁左衛門の与兵衛



海老蔵の与兵衛と仁左衛門の与兵衛



大阪松竹座の「女殺油地獄」の与兵衛を演じていた海老蔵が、怪我の為急遽休演になりました。この役を仁左衛門から教わって、張り切っていた彼は残念でならない思いでしょう。



観客にとっては、海老蔵の与兵衛が見られなくなってがっかりですが、本家仁左衛門の与兵衛がもう一度見られるというチャンスは、願ってもないことです。



私の友人が各々の与兵衛の感想を書いています。



先ずは海老蔵の与兵衛について、yukiさんのウォッチングから引用させて頂きます。http://www5e.biglobe.ne.jp/~freddy/watching189.htm



夜の部の最後は海老蔵の「女殺油地獄」。与兵衛を出世役として世に出た仁左衛門に教えを乞うて今回この役に挑戦しましたが、勢いがあってなかなか面白く感じました。お吉を殺して金をとろうと決心した時、目が一瞬黄色くみえたのが印象的で、海老蔵の持ち味が充分に生かされていました。しかし「不義になって貸してくだされ」の台詞がいかにも中途半端で、上方言葉を関東の役者が使うという難しさはあるにしても研究を要するところです。豊嶋屋の場で花道から登場する時、揚幕を開けずにすきまからそっと出て暗い中をしばらく進んだところで明かるくなるというやり方が、途方にくれた与兵衛の心境を表していました。お吉を演じた孝太郎は若妻らしいしっとりとした感じや少々おせっかいな性格がぴったりと似合い、既に何人かの若手の与兵衛と共演している孝太郎ですが、この役はあたり役と言えるでしょう。母親おさわの竹三郎も強がってみせるものの本当は息子に弱い母にぴったり。小栗八弥の薪車はすっきりした容姿と口跡で出番の短いこの役を印象づけました。父徳兵衛の歌六は持ち前のあくの強さを殺して演じていました。この両親が豊嶋屋で鉢合わせし、与兵衛の身を案じて嘆きあうところではまわり中から鼻をすする音が聞こえていました。妹おかちの壱太郎、芸者小菊の宗之助、兄太兵衛の家橘という面々で皆役にあっていたと思います。



次に仁左衛門の与兵衛を見た由比ヶ浜さんの感想です。彼女は海老蔵の与兵衛も見ているので、両者を比較して見られたと思います。





仁左右衛門の与兵衛について、由比ヶ浜さんが成る程と頷ける感想を書いて居られるので、紹介させて頂きます。


まさか、仁左様の与兵衛を観ることになるとは思いもよりませんでした。
先日の海老蔵のも面白いと思いましたが、そのお手本を観たという感じです。
キレやすくて、ふてぶてしいかと思えば心細げだったり、涙もろいとこもあったりと、大人になれていない青年の、複雑極まりない性格が、とてもよく表れていました。
その表れが決して唐突ではなく、一人の人物の刹那的に揺れ動く心の様として、すごく自然に演じられていると思いました。
豊嶋屋での殺しの場は与兵衛がお吉を殺そうと決めた時の仁左様、ホントこわかった。
「不義になって~」のセリフも不気味でぞっとしました。目がいっちゃってるんです。
金を手に入れる、そのことしか頭にない。
孝太郎さんもお吉を演じていて、海老蔵のときより恐ろしかったと思いますよ。
最後のとどめを刺されたとき、お吉は大きく体をそらせて倒れました。
多分先週観たときよりも、大きくそって、且つキープしていたので、頭を客席のほうへたらして倒れたとき大きな拍手がありました。乱れた髪がちょうど白い顔に斜めにかかり、凄惨な場面なのに美しいと思いました。
海老蔵と比べると、わかりきったことだけど、主役一人が浮き出るのではなく、(海老蔵はやっぱり浮いていました)芝居の中に仁左与兵衛がしっくりと溶け込んで、近松の世界を作り上げていました。お得意の役とはいえ、(確かもうやらないといっていた役?)急な代役でも完璧な与兵衛でさすがでした。
それで、あらためて海老蔵の与兵衛も、もういちど観てみたいと思いました。