2008年5月14日水曜日

河村常雄の家元探訪ー坂東三津五郎(8)

踊りというのは果てしない山道を登っているようなものです。平成9年、今から11年前に、『奴道成寺』を歌舞伎座で踊ったとき、初めて心の底から楽しいなと思えた。40歳を超えていましたよ。それまでは、ちゃんと出来ているだろうか、きちっと踊っているだろうかと、もう1人の自分がチェックしていたのです。しかしこのとき初めて、料理でいえば、この鯛を焼こうか、煮ようか、調味料はどうしようか、自分の塩梅で決められるようになった。そこまで行くには40年近くかかった。それからですね、踊りが本当に楽しくなったのは。それまでは嫌いではなかったけれど、どこか解放されていなかったわけです」(<河村常雄の家元探訪>坂東 三津五郎(8) : 伝統芸能 : 舞台 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞))

最近の三津五郎さんの踊りを見ると、身体の動きからその楽しさが伝わってきます。去年の10月歌舞伎座の「奴道成寺」は襲名の時と比べて、踊り手自身が楽しんで踊っていて、その楽しさを観客に伝えている感じがしました。セリフや演技で表現できても、身体で表現できなければ歌舞伎役者とは言えないと思います。三津五郎さんはその点でも確かな歌舞伎役者といえるでしょう。