2008年7月13日日曜日

渡辺保の劇評 2008年7月歌舞伎座

いつもの清元と違って今度は全て竹本仕立て。初代猿翁歌右衛門以来の文楽式。幕が開くと一面桜の書割。「恋と忠義」のオキが終るとその書割を上手下手に引いてとる。正面に桜の大樹、上手が傾斜になった丘、その丘の上に赤地に破れ菱形の着付、打ち掛けのいつもの静御前が立ち、下手に滝車のある川の流れを見せる。  この丘の上にあらわれた玉三郎の静御前、さすがに大歌舞伎の立女形。今日一日の見ものである。(2008年7月歌舞伎座)

いつも見慣れた「吉野山」と幕開きから違います。この文楽式もなかなか良かったのですが、清元の「女雛男雛」のところ、この美男美女で見たかったですね。



渡辺先生は「夜叉が池」が一番とおっしゃっておられますが、私は「高野聖」のほうが新鮮で面白かったです。お坊さん姿の海老蔵は実に清々しく、いかにも修行の聖という感じが出ていました。玉三郎は謎を秘めた魅力的な女で芝居の運びをきっちりとリードしていて流石です。右近は全くしゃべらないのですが、唄を歌います。木曽のなかのりさん~良い声で上手でびっくりします。その他、市蔵の薬売り、歌六の最後の長セリフが効いています。