2008年8月24日日曜日

犬丸治の劇評 亀治郎の会

「京鹿子娘道成寺」。 これほどネットリとした触感の道成寺は初めてである。 女の暗い情念で一本芯が通っており、これはこれで亀治郎の主張だろう。 いつもの「聞いたか坊主」は無く、満開の桜の書き割りに竹本連中。「ひらり帽子のふわふわと」でドロドロになり、スッポンから赤地に枝垂れ桜の着付でせり上がる。早くも蛇体のハラを見せるわけで、道行の振りも物語のアクセントが強い。中略



 「ただ頼め」「鈴太鼓」のあと肌を脱ぐと再び赤地に枝垂れ桜に着付、鐘に入った後所化の調伏の祈りがあり、この着付のまま鐘に乗り、蛇体の心で鱗模様の帯を垂れ下げる。 単にコスチュームプレイに済ませず、娘姿に封じ込められた怨念を視覚化しようとした、亀治郎らしい「娘道成寺」であった(2008年8月「亀治郎の会」評  犬丸治)

「俊寛」もいろいろな型がある中、前進座型と澤潟屋型とのミックスとか、亀治郎の思うところが箇所箇所で光る感じです。



「京鹿子娘道成寺」の道行をスッポンから登場するとか、鞠唄も引き抜きしないとか、段切れの演出など、亀治郎の主張が貫かれた娘道成寺のようです。これは観てみたいですね。衣裳を換えるだけでも、意味が違ってきて面白いと思います。