2008年10月8日水曜日

渡辺保の劇評 2008年10月歌舞伎座昼の部

菊五郎の「魚屋宗五郎」。  宗五郎の内で花道を出たところ、長ゼリフはいいが、その後の酔態は普通。(2008年10月歌舞伎座昼の部)

私の印象は違いました。初めは理路整然と家人を諭していたのが、おなぎさんの話しを聞いてからだんだん気持が揺れ、ついにお酒を飲んでしまいます。一杯目、二杯目~と飲んでいく内に酔っていくのですが、細かい手順を自然に見せ、目がすわっていく様子、身体がふらついていく酔っぱらいの変化を見事に演じていたと思います。松緑の宗五郎も大変良かったのですが、酒乱の人が暴れる、人が近寄れない怖さは、菊五郎のほうが出ていたと思います。



玉三郎のおはまは、この役が後見のようなものなので、菊五郎といつも夫婦役を演っていない訳ですから、当然のことだと思います。日を重ねていく内にしっくりしていくでしょう。