2008年10月15日水曜日

渡辺保の劇評 国立劇場2008年10月

序幕埋木舎で若き日の直弼、お静、仙英、長野主膳、宇津木の姿を見せて、大詰に向って大きな一つの円環を鮮明にしている。吉右衛門の直弼も豆腐買いに出て雪道の七三でちょっと足を滑らしただけで観客がワッという面白さだし、周囲も揃っていい。 (2008年10月国立劇場)

この場が大詰のドラマを浮き立たせるのに大事な役を担っています。

第三幕の水戸家の内紛。古関新一郎(歌六)次之介(歌昇)兄弟の悲劇はエピソードとしてもよく出来ていて、暗殺の被害者対加害者の葛藤がはっきりしている。歌六歌昇二人の好演もあって第三幕はこれだけでも立派な芝居になっている。 (2008年10月国立劇場)

ここは一昨年の「元禄忠臣蔵」を連想しました。男のドラマという感じで見応えありました。

私は第三幕の井伊家の能舞台で、井伊夫人昌子が外国人のために「娘道成寺」を踊って見せるというような場面は、観客へのサービスではあるが、必要がなかったと思う。(2008年10月国立劇場)

この場は見る側にとって、息抜きにはなりましたが、何だか意味不明な場でもありました。次回は手入れが必要でしょう。