2009年6月8日月曜日

渡辺保の劇評 2009年6月歌舞伎座

年齢を感じさせない若さで、それが芸を味わい深く、豊かに見せている。徳庵堤の羽織を左手にひっかんで弥五郎善兵衛二人を追っかけて花道を出てくるところから、幕切れの「なあんだ、駄馬か」から羽織で顔をかくして入る、その羽織一つの扱い方を見ても、うまく上方和事と近松の描いた近代的な青年を無理なく一つに溶け合わせて見せている。 (2009年6月歌舞伎座)

仁左衛門の一世一代と銘打った与兵衛が、やはり素晴らしい。このお役は役者さんにとっても大変魅力的なのでしょう。関東の役者さんもよく手がけますが、難しい。何かしっくりこないという印象でした。渡辺氏の〝うまく上方和事と近松の描いた近代的な青年を無理なく一つに溶け合わせて見せている〟の説明で納得しました。ころころ変わる心理の表現は演じられるが、上方和事の味はそう簡単には身につかない。二つをクリアできないとこの芝居は面白くないのだと思います。観劇の日が待ち遠しいです。



他の演目については観劇後コメントさせて頂きます。