2010年9月9日木曜日

渡辺保の劇評 2010年9月新橋演舞場夜の部

体がきいた頃はスピードはあっても一つ一つはサラリとしていたが、体がきかぬ今日になってかえって一つ一つの振りが丁寧に生きているから恐ろしい。定九郎が仲蔵以前の定九郎になっていること、ことに「娘化粧すりゃ狐がのぞく」の狐の無気味な無表情の一瞬は大いに感心した。(2010年9月新橋演舞場夜の部)
歌舞伎座11月の顔見世で富十郎の「うかれ坊主」を見た時、松緑を超えたという感動を覚えました。今回はおそらく5年以上経っているのでどうかな?と思っていましたが、この踊りの魅力を存分に見せてくれました。浚わずに踊れるものでも、一つ一つ丁寧に粒立って見せるところが富十郎の真髄です。素晴らしいです。
芝翫の「鐘ヶ岬」は、私は渡辺氏とは違う印象を持ちました。もう機敏に衣装をつけて動くのが難しい年令で、地唄のスピートがちょうど良いのです。道成寺の下地がしっかりしているので振りもスムーズです。段切れの一瞬にみせる型のカッコイイこと、流石だと思いました。武原はんの地唄舞とは全く異質な歌舞伎役者の踊りです。
「引窓」は大好きな狂言で、特に9月にうってつけの演し物です。染五郎、松緑が意外と良くて、今後セリフが上手くなればもっと良くなると思います。終演が9時でそんなに遅くないのに3階席もかなり帰った人が目立ちました。

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