2010年10月9日土曜日

渡辺保の劇評 2010年10月 新橋演舞場

福助のお園が大出来。前半もう少ししっとりした味がほしいと思うが、くどきは、今まで私が見たお園のなかでも有数の出来である。その理由は、だれでもとかく踊りになるか、あるいは日常的な動作になるか(座布団を片付けたり、行燈に油をそそいだりする動き)、どちらかに傾きがちになるところを、心持一つでもち切ったためである。きまってきまらず、きまらずにきまるそのほどのよさの上に、姿かたちがまことによく、味が出ているのが偉い(2010年10月新橋演舞場)
上方味たっぷりの「酒屋」を福助が演じるのはどうかなと全く期待していませんでした。それが意外に良かったので、福助の新たな発展に期待したいと思います。周りを上方勢で固めたので、舞台の雰囲気を作ってくれ演じ易かったのでしょう。しかし、このお話は私にはついていけません。いくら手紙に「夫婦は二世~」と書かれていても、子までなした女性と夫のことを思い、心中穏やかという訳にはいきません。お園はこの言葉をうれしく有り難く受け止めているのです。心情的に受け入れられないので、見終わった後もすっきりしません。
今月は七代目、八代目、九代目三津五郎の追善ということで、正面左手に遺影が飾ってあります。懐かしく対面させて頂きました。巳之助と二人で踊る「連獅子」を代々の大和屋は何より喜んで見ている事でしょう。

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