2012年5月17日木曜日

上村以和於の劇評 2012年5月 新橋演舞場

夜の部は染五郎が三島由紀夫の「椿説弓張月」に取り組む。初演の祖父・白鸚、再演の父・幸四郎、三演の猿之助に続く四演目だが、ロマン性と仁の良さの2点において誰よりもふさわしい。終局、弓張月の掛かる天空へ白馬に乗って去る美しさがその証明。半面、上の巻の伊豆脱出、中の巻の白峯から肥後の山塞、薩南海上などはディズニーならぬ三島カブキランドに遊ぶかのよう。琉球に舞台が移る下の巻でようやく芝居になる。ここでもかつての祖父の役に取り組む翫雀の阿公(くまぎみ)、松江と松也の鶴亀兄弟の健闘が光る。七之助の白縫姫も当代ではまずこの人か。25日まで。(新橋演舞場5月花形歌舞伎 世代交代 さながら先取り :日本経済新聞)
三島歌舞伎の面白さというより、三島の美の感覚や、三島好みの色が散りばめられているという印象でした。先ずは大道具に拍手!大きな船、一面の浪布、スペクタクルな舞台で楽しませてくれます。薩南海上の場では義太夫の演奏が迫力を表現し、西洋音楽を使わない新歌舞伎として大変好ましいと思いました。又セリフが実に綺麗な日本語で耳に心地よかったです。演じる役者も適材適所、ワキも子役も含め、皆良かったと思います。この作品が優れているかは別として、三島由紀夫が歌舞伎を書いたらこうなったということが分かれば良いのだと思います。(16日夜の部所見)日経新聞は写真が沢山載っていてうれしいです。