2013年5月19日日曜日

上村以和於の劇評 2013年5月 歌舞伎座・明治座・国立劇場

『石切梶原』の吉右衛門が圧巻だ。若い頃から飛び切り堂に入っていた役だが、こういう芝居を面白く見せるための条件をほとんど満足すべく備えている。梶原が何を考え、何をしようとしているか、セリフ、しぐさ、肚、すべてが鮮明に見えてくる。加えて、男も錆びたりと思うばかりの色気と愛嬌。義太夫狂言の醍醐味というのはこうした辺りにあるのであって、太い筆に墨をたっぷり含ませて一文字を書くような充実感といえばいいか。先月の熊谷もそうだったが、今の吉右衛門を見ていると、ある意味で役よりも役者の方が大きくなっているのを感じる。白鸚や松緑といえども、こういう豊かさはなかったのではるまいか。(演劇評論家 上村以和於オフィシャルサイト)
誰もが絶賛の吉右衛門の石切梶原です。「二人道成寺」は何といっても初演時が一番新鮮でしたし、今までと違う切り口が面白かった。しかし美しい女形が二人揃って踊る贅沢さは観客を充分酔わせてくれます。
演舞場の花形は勘九郎が父にはない 丸本物の骨格を持っているという。彼は播磨屋のお家芸も継承していくと思います。