2013年5月20日月曜日

文楽評(黒石陽子) 文楽五月公演

充実しているのは第二部の「心中天網島」。「河庄(かわしょう)」の嶋大夫・富助が、理屈では遊女小春と別れることに納得しながらも心の奥にいかんともしがたい未練を抱える治兵衛を表現。「紙屋内(かみやうち)」「大和屋」では、舅(しゅうと)五左衛門がおさんを取り返しに来る場面で、治兵衛、おさん、五左衛門の心の葛藤を咲(さき)大夫・燕三(えんざ)が息の詰んだ語りと三味線のぶつかり合いで緊迫感をもって聞かせ、義太夫節の面白さを堪能させてくれる。とともに、この場面の深刻さが胸に迫る。玉女(たまめ)は治兵衛の心理の変化を明確に見せ、勘十郎は小春の苦悩、文雀(ぶんじゃく)のおさんは母であり妻である悲しさを切実に伝える。(東京新聞:<評>国立小劇場「文楽五月公演」 見せ場たっぷり「心中天網島」:伝統芸能(TOKYO Web))
「公益財団法人文楽協会創立五〇周年記念」「竹本義太夫三〇〇回忌記念」「近松門左衛門生誕三六〇年記念」と銘打っての公演です。住大夫が寿式三番叟が翁を語って花を添える。