2014年1月16日木曜日

上村以和於の随談第512回 新春おせち料理(各座の劇評)

『義賢最期』はイキ良し、口跡よし、クールな二枚目の愛之助にとっては、実力魅力兼備のさまを見せるには最適の役かもしれない。甲冑を着ずに討手を迎えるダンディズムにも適っている。ー浅草公会堂ー
その歌舞伎座の初芝居のお薦めは一に『松浦の太鼓』、二に『時平の七笑い』、三に現在ただ一人の立女形の芸という意味で『九段目』の藤十郎である。第四に橋之助の大庭に錦之助の俣野という『石切梶原』の敵役兄弟。如何にも時代物役者らしくて大立派。とくに錦之助にとってはこれが最高傑作ではあるまいか。ー歌舞伎座ー
新橋演舞場の海老蔵新作『寿三升景清』はよかった。この際絶賛しよう。海老蔵はやはり、神に愛された男、か? 詳しくは『演劇界』三月号に書いたからそちらを見ていただくことにしたい。ーっ新橋演舞場ー
、今回この芝居をともかくも持ちこたえた松禄の努力と、これまで苦労の末積み上げてきた役者としての力量を認めなければならないだろう。かつて祖父の先々代松禄がこの劇団で担っていた役割を、当代がともかくも支えて見せたのである。この月の国立劇場について、言うべきことはほとんどそれに尽きているようなものだ。ー国立劇場ー(演劇評論家 上村以和於オフィシャルサイト)