2014年6月7日土曜日

渡辺保の劇評 2014年6月 歌舞伎座

今度はいつもと違って千之助の若い者が、この幕開き、中ほど、幕切れ近く おかめとひょっとこと三度からむ。孫を相手に踊る仁左衛門の嬉しそうな笑顔 が忘れがたい
新左近の繁蔵はしっかりしていて将来が楽しみ。松緑の蘭平は、父祖三代の 当たり芸、かつ松緑襲名の狂言でもあるが、その襲名の十数年前に比べると格 段の進歩である。
今度の「名月八幡祭」が面白いのは、むろん十五年ぶりの吉右衛門の新助が 充実しているからだが、もう一つは周囲の役が、芝雀の美代吉はじめほとんど 全員初役で舞台の雰囲気が一新、新鮮な上に揃って出来がいいからである。
芝雀、錦之助、歌六、又五郎と初役揃いが大当たりで、この芝居は今までと はちがった面白さ、ドラマの感覚がこれまでと一変している。(2014年6月歌舞伎座)
仁左衛門の笑顔、新左近の将来、明るい話題の今月の歌舞伎座です。松緑が格段に進歩したとの評が何よりうれしいです。又吉右衛門と共演の芝雀、錦之助、歌六、又五郎の実力派が今後の歌舞伎を支えていく人たちであると納得です。