2014年9月10日水曜日

犬丸治の劇評 2014年9月 歌舞伎座

気強い光秀も、戦場で深手を負い息絶える我が子・十次郎(市川染五郎)と許嫁いいなずけ・初菊(中村米吉)の悲しみに加え、老母の死という家族の別離に直面し、こらえきれず号泣する「大落し」は、吉右衛門の時代物役者としての本領を十二分に発揮して悲壮を極める。久吉と佐藤正清(中村又五郎)と3人で、刀を担いできまる幕切れまで、ズシリと手ごたえのある義太夫狂言。
米吉の初菊が、戦場へ出立する十次郎への思いを、別れの盃事さかずきごとなどで初々しく情感を込めて見せる。染五郎の十次郎も「残る莟つぼみの花ひとつ」という義太夫の詞章通り、華々しい出立から、初菊に見守られての死まで憂愁深く見せて、いつの時代にも変わらぬ戦争の悲惨と若者への愛惜を際立たせている。([評]秀山祭九月大歌舞伎 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE))
 見応えある「絵本太閤記」。