2014年12月15日月曜日

小玉祥子の劇評 2014年12月 国立劇場

幸兵衛の家で濃密な人間模様が展開される。政右衛門は股五郎方の幸兵衛に正体を知られることを恐れて、お谷を突き放し、果てはわが子の命を奪う。  すぐ側(そば)に妻子がいるのに声をかけることもかなわない。無言でたばこの葉を切り続ける吉右衛門の姿から内面の葛藤(かっとう)が鮮やかに浮かび上がった。夫に子をひと目見せたいと一途(いちず)に願うけなげさを芝雀が見せ、歌六は武芸者の前歴を思わせる強さと、すべてをのみ込んだ人物の大きさを表現。菊之助に若侍の色気とりりしさがあり、米吉がみずみずしく愛らしい。東蔵のおつやに優しさが出た。葵(あおい)太夫の浄瑠璃も聞かせ、すぐれた一幕になった。(歌舞伎:伊賀越道中双六 吉右衛門、内面鮮やか=評・小玉祥子 - 毎日新聞)
内面の葛藤がにじみ出る吉右衛門の演技です。