2014年12月9日火曜日

河村常雄の劇評 2014年12月 歌舞伎座

まだ20代の松也が、武蔵とぶつかり合う敵役を堂々と演じ、かつ女形もやってのける。今月は「義賢最期」の亀三郎とこの松也が殊勲賞である。
最も充実しているのは「鳴神」の鳴神上人。政治への恨みから呪術で干ばつを引き起こすが、雲の絶間姫(玉三郎)の色香に迷い、術が破られる。学識と法力を備えた上人になっている。絶間姫に籠絡されるエロチックな過程に照れがなく、安心して楽しめる。飲める酒を飲まされ、術を破られたあとの怒りは大きい。柱巻の見得も極まる。
玉三郎の絶間姫が絶品である。色気があり、女性の強さがあり、愛きょうもある当代一の絶間姫がこの場をリードしている。(河村常雄の新劇場見聞録)
「鳴神」は狂言自体が優れていますし、一番面白いのだと思います。上人様と雲の絶間姫さん、最高のコンビです。