2015年4月24日金曜日

容姿端麗のレジェンド 十五代目 市村羽左衛門

長野県山ノ内町の旅館「信州湯田中温泉『よろづや』」。十五代目羽左衛門は四五年初頭から数カ月、疎開のため滞在した。同旅館会長の小野欣五さん(88)は「すらりと背の高い人だった」と振り返る。ハンチング帽にニッカーボッカー姿で毎日散策する姿は「花道を歩いているみたい」と温泉街の人たちを魅了した。滞在した「菊の間」は落ち着いたしつらえ。当時珍しい水洗トイレがあったこともあり、羽左衛門は気に入っていたという。
「市村のおじさんは声が良くて(せりふは)名調子。顔も小さくてすてきだった」。少年期にたびたび共演した人間国宝の六代目澤村田之助(82)は、十五代目の記憶が鮮明だ。「勧進帳」の富樫左衛門、「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき) 実盛(さねもり)物語」の斎藤実盛など数々の当たり役には「どれも華があった」。晩年も老け役はやらず、「白塗りの二枚目」を貫いた。あか抜けてすっきりした芸、江戸っ子気質で細かいことは気にせず、愛嬌(あいきょう)あふれる人柄は多くの人に愛された。しかし「芸には厳しかった」と田之助は言う。
旅館の一角には十五代目のブロマイドや絵はがきなどの展示コーナーがあり、今も宿泊客の関心を集めている。十数年前まで、十五代目を「しのぶ会」が何度か開かれていた。会を企画していた演劇ライター田島宣彦さん(80)は「特別な見方をされた人だが、もう出てこない役者でしょう」と懐かしんだ。(東京新聞:<戦後70年 芸は脈々>容姿端麗のレジェンド 十五代目 市村羽左衛門:伝統芸能(TOKYO Web))
ブロマイドを見ただけでも、華の橘屋!の魅力が伝わってきます。口跡が良いのは富十郎に受け継がれました。