2015年10月7日水曜日

渡辺保の劇評 2015年10月 歌舞伎座昼の部

一つは上品な公家が趣味として狂言に凝っている、それを利用して阿呆の振 りをしているという点がハッキリしていること。この人は源平の抗争に巻き込 まれなくとも、生来狂言を趣味にしただろう。阿呆のふりをしなければならな くなった時に、自分の趣味を利用しただけであって、いかにも貴族、ブルジョ アが趣味の狂言に凝っているという風情が今度の仁左衛門には色濃い。だから 「元来某源氏の類葉」という凛とした武将の性根はビクともせずに狂言小舞に 遊んでいるという有様がよく描かれていて、いつもの「暁の明星」や「きりり んきりりん」が、いかにも趣味でやっているという風に見える。十三代目仁左 衛門が「忠臣蔵七段目」の由良助で遊びにふけっているサマを見せたのと同じ。 だからつくり阿呆が卑しく、いやらしく見えないのである。(2015年10月歌舞伎座昼の部)
あざとくなく、品の良い大蔵卿です。役のハラ、仁左衛門の人間性がにじみ出ています。