2015年12月10日木曜日

天野道映の劇評 2015年12月 歌舞伎座

「妹背山・御殿」のお三輪は、恋人藤原淡海と橘(たちばな)姫の婚礼を知って嫉妬が高ぶり、「疑着の相」を表す。このとき玉三郎は、下座の独吟の間いったん気を失う歌右衛門型を省略し、内面のマグマが美しい顔に一気に噴き上げてくる。  最後に自分の犠牲が恋人の役に立つと知り、表情を微笑(ほほえ)みに変えて死んでいく。そこにカタルシスが生まれる。この意識の流れを重視している。  二つの役は神話的題材の人間ドラマ化という点で「玉三郎の美学」の根底を明かしている。((評・舞台)歌舞伎座「十二月大歌舞伎」 犠牲を微笑みに、玉三郎好演:朝日新聞デジタル)
女形の大役を次々に演じているのは、お手本を見せてくれているように思います。