2015年12月11日金曜日

河村常雄の劇評 2015年12月 国立劇場

幸四郎を座頭にした大南北作「東海道四谷怪談」の通し。財ある武家の娘との再婚と仕官のため妻お岩を裏切った塩冶家浪人・民谷伊右衛門が、お岩の霊に祟られる怪談である。暮れに何故、怪談物の代表格「四谷」を上演するのか。この不審は、舞台を見ると納得がいく。本作の初演が「仮名手本忠臣蔵」を織り交ぜて上演された義士外伝であることを生かし、最初に塩冶判官の刃傷事件を表す発端「鎌倉足利館門前の場」と最後に赤穂浪士討ち入りの大詰第四場「鎌倉高師直館夜討の場」を書き加えている。これで「仮名手本」を元にしていることが理解できる。雪も降り、今の季節にも合う。面白い構成である。(河村常雄の新劇場見聞録)
公演が発表された時は、なんで12月に四谷怪談と思いましたが、この構成をみて納得です。裏表忠臣蔵を上演すると時間的に無理なので、今回のような新趣向になったのでしょう。