2016年1月18日月曜日

長谷部浩の劇評 2016年1月 シアターコクーン

こうした複雑な「母」として猿之助が選んだのは、かつて美しかった女性の模倣ではなく、実の子の母として生きることを断念し、多くが視覚に障害を持つ女たちを守りつつ、生き延びていく女たちの仮の「母」であった。そこには徹底した内向がある。ほとばしる情念を押さえ込んでいく意志の強さがある。こうした性向を描き出すとき、女方芸はいよいよ輝きを増す。たとえば鏡花の『天守物語』は、やはり女優よりは女方のものだろうと思う。同様に『元禄港歌』の糸栄には実体としての女性を超えた人間存在、超自然的なものと深く結びついた人間のありようが、暗闇のなかに、底光りするからだと思う。(TheaterGoer Directoy    長谷部浩の劇評)
猿之助の 女方芸 内面を深くとらえて観客の心を打つのですね。素晴らしい。