2016年1月19日火曜日

渡辺保の劇評 2016年1月 浅草公会堂

「四の切」の亀井はさしたることもないが、出色なのは「毛抜」である。粂 寺弾正はむろん白塗りの和実の役であるが、どこか鋭く、敵役八剣玄番の上を 行く凄味な翳があって、柔らかさ一方でないのが荒事風のこの役の味に効いて いる。お定まりの五つの見得も腰が入ってキッパリ形がよく、ことに背丈があ るだけに頬杖の形は、お父ッあん以上である。
ことに静 は型ものだけにその型をよく学んで、「園原や」の二度目の出以後、忠信と二 人きりになっての芝居は寸法がキッチリきまって体が光彩を放つ出来である。 むろん静は大役、完全というわけにはいかなくとも基本がキチンとできている ところは大手柄である。この体験を忘れてほしくない。(2016年1月浅草公会堂)
巳之助は父とは違う素質が感じられる今月でした。今後、いろんなお役を見るのが楽しみです。
新悟は口跡もよく、静は合格です。