2016年2月6日土曜日

長谷部浩の劇評 2016年2月 歌舞伎座 『籠釣瓶花街酔醒』

全体を通していえば、ふたりの息が詰まっている。そのために次郎左衛門と八ッ橋がはじめて出会う場、そして縁切りに及ぶ場、さらには殺し場までふたりが運命に翻弄される主要な場面で、芝居が引き締まっている。歌舞伎座の客席はひたすら静まりかえって、観客が舞台に引き込まれている。吉右衛門と菊之助、平成歌舞伎を牽引する大立者と充実期を迎えてひとかどの役者になりおおせた役者が、お互いの心の襞をのぞき込んでいる。(TheaterGoer Directoy    長谷部浩の劇評)
今まで私が見た中で一番よかったです。八つ橋を見る次郎左衛門吉右衛門の目が、時にはうっとり、ウソでしょうと八つ橋の目をじっと見つめる目、最後の別れの前の狂気の目、純朴な田舎者が吉原に翻弄された生き様を見事に表現しています。八つ橋菊之助は見染めの場花魁道中で出てきた時の品格、大きさが圧倒されます。縁切りの場ではセリフが素晴らしく歌舞伎座の空気を支配していました。この場の下座、吉原雀、二人椀久。松の緑が実に効果的でした。

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