2016年6月17日金曜日

長谷部浩の劇評 2016年6月 博多座

この芝居まずは菊五郎の勝頼が本舞台の芯にいるが、馥郁たる色気が漂う。藝の円熟がこの芸容となったのだろう。上手に雀右衛門の八重垣姫、下手に時蔵の濡衣。愛大夫渾身の竹本 に情がこもり、勝頼を慕っていた筈が、美貌の青年に燃え上がり、やがて本物の勝頼とわかる筋立てを炎が燃え上がるように見せたのは、雀右衛門の手柄だろうと思う。切なさに心を裂かれる八重垣姫は、もとより難役だが、雀右衛門には先代とはまた色が違う。あえていえば現代的な切れ味、シャープさが備わっていてこの先の藝境が楽しみになった。(長谷部浩の劇評  TheaterGoer Directory)
相模を勤める「熊谷陣屋」も一級品とのこと。

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