2016年6月18日土曜日

長谷部浩の劇評 2016年6月 コクーン歌舞伎

具体的には獅童の伊右衛門は色悪ではなく、主体性なく流されていく一人の男であった。お岩は父左門の生き方を尊敬そして反発しつつ、やはり男に頼らなければ敵討ちもそして生活も成り立たない哀れな女ではなく、この世の地獄に向かってひたすら落ちていく女に見えた。また、直助は小悪党というよりも女にだらしない好漢であり、お袖もまた夫与茂七と好漢直助のあいだで揺れる女であった。南北の原作そのものというよりも、それぞれの役を現代人の目で読み解き、成立させるにはいったいどうしたらよいのか。その視点に貫かれているからこそ『東海道四谷怪談』ではなく、今回は『四谷怪談』なのだろうと思う。(長谷部浩の劇評  TheaterGoer Directory)
現代の思想に近い感じがしますね。