2016年9月8日木曜日

河村常雄の劇評 2016年9月 歌舞伎座

吉右衛門の大判事、玉三郎の定高が両花道に対峙し、舞台と客席を一体化させ、巨大な歌舞伎空間を創り出す。剛毅、風格を有し、当代屈指の大判事役者である吉右衛門に柔らかみが加わった。円熟の度合いを増している。2度目の玉三郎は男勝りの定高に女性らしい優しさが漂う。無論、女当主としての貫禄。威厳は備わっている。新しいタイプの定高である。2人はせめて相手の子だけでも助けたいとの願いもむなしく、わが子を手にかける苦衷を「雛流し」まで劇的に描いていく。  染五郎の久我之助、菊之助の雛鳥。吉右衛門、玉三郎の重厚、精緻な芝居の前に神妙。瑞々しい純愛を演じた。背山の葵太夫、妹山の愛太夫の竹本も本作の義太夫物としての味わいを一段と高めた。(河村常雄の新劇場見聞録)
両花道の醍醐味満点、感動的舞台を是非観て頂きたいです。