2016年10月13日木曜日

桐山健一の劇評 2016年10月 日本特殊陶業市民会館(名古屋)

忠義と自己犠牲の緊張感みなぎる身代わり悲劇「寺子屋」(夜の部)では松王丸。愛息の首実検にも平然としていたが、わが子を源蔵宅に差し向けた本心を語り終えると目が潤む。哀惜の涙か、恩返しできた喜びの涙か。切ない子殺し話なのに清らかさが胸を打つ。破滅した人間の悲劇も、残忍な場面でも、美しく描くのが歌舞伎だ。重厚で陰影の濃い立ち役の造形に本領を発揮し、精巧なせりふ術で松王丸の魅力を増幅させた。(仁左衛門、風格と色気 「錦秋名古屋顔見世」:朝日新聞デジタル)
人物の内面をリアルに表現しても歌舞伎の域を出ないのが素晴らしいと思います。

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