2016年12月7日水曜日

渡辺保の劇評 2016年12月 歌舞伎座第二部

初役にしては大出来である。こ の人はお父さんとはニンが違う。そこを考えてこういう道を歩むべきだとつく づく思った。この松王丸を見れば誰でもわかるように、お父さんがやれなかっ た弁慶も熊谷も由良助も将来この人のものなのである。
今度は寺入りがあって七之助の千代が、門口へ出て思わず小太郎を見ている横 顔にいいようのない寂しさが漂う。扇を忘れたというところで、それとなく扇 をかくす科がないが、それはそれで一つの解釈。  二度目の出になって本舞台を見込んでくる横顔、姿にも必死の母の思いがあっ ていい。くどきの紫の袱紗を頬づりするところとともにいい千代である。(2016年12月歌舞伎座第二部)
寺子屋の出来が良いということは、将来丸本物の手強いお役も演じられるのではないでしょうか。

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