2017年4月19日水曜日

上村以和於の劇評 今月の舞台から 2017年4月

今度の染五郎を見ながら、角々のきまりやちょっとした間合い、その時の目の使い方、顎の使い方、後頭部から肩や背中の線などに、勘弥の貢を彷彿させるような箇所が幾つもあり、それが私にちょっとした驚きをもたらした。こういう、柔らか味のある、とろっとした感触のある貢を、ずいぶん久しぶりに見たと思った。
染五郎貢、猿之助万野がそれぞれ自分の仁にあってそれぞれよく、且つ取り合わせの妙も利いて面白く、梅枝のお紺、米吉のお岸、ちょっと水気が過多のようではあるが神妙につとめているところを買って松也の喜助も無事とすれば、この若いメンバーに、秀太郎の万次郎、萬次郎のお鹿などという長老連と(この中に京妙の千野も加えたい)、何とも不思議な取り合わせもおかしく、何だか私一人で褒めているような気もするが、近頃面白い『伊勢音頭』ではあった。
東京の役者さんで上方狂言がしっくりくるのは、染五郎と猿之助かもしれません。
「赤坂大歌舞伎」と「大」の字がついている)で初の新作を掛けた。蓬莱竜太作・演出で『夢幻恋双紙』。「赤目の転生」というサブタイトルがついている。小劇場系の気鋭の作者らしく、こうと思えばあゝといった感じで次々と観客の意表を突いてゆく展開といい、それを転生という形で人間の諸相を視覚化して見せる、水際立った演出の手際といい、なかなかのものだし、作としても悪くない。勘九郎にしても七之助にしてもなかなか達者で、こういうものをすればひょっとすると親父より巧いかも、と思わせるほどだ。(演劇評論家 上村以和於公式サイト)
勘三郎の開拓した新作の上演、確かに息子が受け継いだといえましょう。

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