2017年5月12日金曜日

天野道映の劇評 2017年5月 歌舞伎座

「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」が面白い。菊之助の乳人(めのと)政岡は我が子を惨殺されても、びくともせず若君を守る。魁春(かいしゅん)の栄御前は、政岡が我が子を若君と取りかえていたと思い、悪人一味の連判状を渡す。六代目歌右衛門の政岡は花道付け際に座って栄御前を見送り、勝利の笑みを浮かべた。  菊之助は笑わず、立って花道七三へ進み、栄御前の後ろ姿をしばらく睨(にら)んでいる。この強い姿から一転して、我が子の亡骸(なきがら)を抱き上げる優しさは、祖父七代目梅幸を思わせる。海老蔵の仁木弾正はふてぶてしく、観客の心胆を寒からしめる。  
「吉野山」は義太夫の地で、菊之助の静御前は舞台奥から出る。海老蔵の忠信。梅幸の静は清元と義太夫を使う型で、花道から出た。さりげなくて、しかも馥郁(ふくいく)たる香気があった。今月ばかりはその型が恋しい。((評・舞台)歌舞伎座「団菊祭五月大歌舞伎」 菊之助、強さと優しさ:朝日新聞デジタル)
松緑の忠信、梅幸の静の「吉野山」を何回も見ましたね。今月は追善ということなので、やはりいつもの道行を見たかったです。

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