2017年11月15日水曜日

上村以和於の劇評 2017年11月 歌舞伎座・国立劇場

菊吉仁幸に最長老坂田藤十郎と五横綱揃った今年の顔見世、こんな壮観にいつまた巡り合うことができるか、見留めのつかない今日この頃の歌舞伎界の気圧配置ではある。この月に限らない、おそらくこの人たちはいまどの役をするにしてもこれが最後かという思いでしているに違いないが、菊の直侍、吉の貞任、仁の勘平、幸の最後の一日の大石、どれもそれぞれの思いのこもった様子が見えて良きものだった。
各役、素晴らしい出来ですが、あとを継ぐのが難しいのは直侍です。
『奥州安達原』という芝居を初めて見たのは東京オリンピックの翌月の歌舞伎座で、初代吉右衛門を偲んで何年振りといった角書をつけて十七世勘三郎がした時だった。
貞任と兼ねた袖萩が弾く祭文の三味線が哀切を極め、中村光輝のお君のけな気さがこちらの胸に届いてくる真率さ。(演劇評論家 上村以和於公式サイト | 歌舞伎の評論でお馴染みの上村以和於です。)
この時、私高校生でしたが、いまだに覚えています。花横だったので袖萩が三味線弾くところもお君とのやり取りもよーく見えました。寒さが客席でもひしひしと感じられ、子役も上手だったと記憶しています。光輝くんだったと今知りました。その後何回も見ていますが、この時の印象が強くいまだに私の中では一番です。

ブログ アーカイブ