2018年2月11日日曜日

長谷部浩の劇評 2018年2月 歌舞伎座

これまでの熊谷は、英雄の悲哀に力点があった。ところが今回の舞台には、老いの要素が薄い。あくまで壮年の熊谷であり、だからこそ、魁春の相模とのあいだに生まれた大事な子を亡くした無念が胸を打つ。雀右衛門の藤の方と相模の対照的なありようもくっきりと打ち出された。熊谷が若いからこそ、女たちの悲しみも切実極まりない。家長として毅然としつつも、どこかに脆さも感じられる熊谷となった。 一方、菊五郎の義経と左團次の弥陀六のやりとり、肚の探り合いは、安定感がある。長い間、同じ舞台を踏んできたふたりの呼吸があっている。菊五郎と左團次の諧謔を好む個性も生きている。この脇筋の好演があるからこそ、熊谷と相模、藤の方の芝居が生きてくる。芝翫、鴈治郎も脇に回って襲名を支えている。
海老蔵の平右衛門が討ち入りに加わりたいと願う願書を突き返す件、足軽の身分をおとしめる件、白鸚と海老蔵の個性もあって、危うい均衡を示す。白鸚の大きさ、海老蔵の直情が生きている。(長谷部浩の劇評  TheaterGoer Directory)
直実は16歳の父親ですから新幸四郎の実年齢に近いわけです。新しい熊谷次郎直実像で良いと思います。
海老蔵・菊之助コンビの兄妹を丁寧に解説しています。

ブログ アーカイブ