2018年3月21日水曜日

中川右介の劇評 2018年3月 歌舞伎座夜の部

観客に顔を見せないで、感情、心情を伝えなければならない、文字通り、「背中での演技」が必要となる難役だ。歌舞伎はたとえ不自然であろうが、役者は常に客席に向かってセリフを言うから、これは歌舞伎的ではない。
さらに、松也の役も難役だ。最後は自決するのだが、その場面、彼は舞台にいない。舞台には「自決した」と知らせが来るだけなのだ。松也は、舞台から去る直前の長いセリフを通して、数分後の自決を観客に納得させなければならない。これも普通の歌舞伎にはない演技が問われる。
滝の白糸が倒れたところで何の余韻もなく幕が下り、歌舞伎だからカーテンコールはない。最近の映画はエンドロールが何分も続くが、「Fin」と字幕が出るだけの、昔のフランス映画みたいな幕切れは、この芝居にふさわしい。(「滝の白糸」で難役 背中の壱太郎&セリフの松也の芸達者|ニフティニュース)
新派で数回は見ていますが、ラストシーンこんなに感動したのは今回が初めてでした。幕が降りてからも余韻が残り、すぐに席をたちたくなかったです。新派の名作が歌舞伎になって光彩を得た感じです。

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