2018年3月12日月曜日

天野道映の劇評 2018年3月 歌舞伎座

欣弥は彼女を問い詰めて、自分の犯行だと自白させる。奪った金は東京への仕送りに使われた。松也のせりふが圧巻である。彼女の罪を憎むのではなく、知らずに恩人を追い詰めていた自分の罪を問うている。言葉は自分に正直な時、初めて他者の心を打つ。
舞踊「神田祭」では、仁左衛門の粋な鳶(とび)頭と玉三郎の競い肌の芸者が、ふと頬を寄せ合い、照れて客席に謝る。平成歌舞伎の最も美しい光景が、いつまでも目の前を去らない。((評・舞台)歌舞伎座「三月大歌舞伎」 頬を寄せ合う美しき名コンビ:朝日新聞デジタル)