2018年8月17日金曜日

矢内賢二の劇評 2018年8月 歌舞伎座 +双蝶会

第一部の北條秀司作「花魁草(おいらんそう)」では、暗い過去をもち自分の秘めた激情におびえるお蝶の特異な感触を中村扇雀がうまく描き出す。中村獅童の幸太郎は実直快活で二人がいい取り合わせ。松本幸四郎、中村梅枝の百姓夫婦、坂東弥十郎の座元、片岡市蔵の達磨(だるま)問屋も実感があって手堅く、「愛する男のために身を引く女」という古風な悲恋物が十分に生きた。
歌昇の関兵衛はキビキビとして、特に星操りのくだりでは目覚ましい古怪さ、スケールの大きさを見せた。小町姫・小町桜の精の二役を演じた中村児太郎もおっとりとして美しく、若手によるこの難曲が期待以上の大当たり。(東京新聞:<評>扇雀、秘めた激情うまく 歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」:伝統芸能(TOKYO Web))