2018年8月30日木曜日

児玉竜一の劇評 「双蝶会」・「研の會」

目を見張ったのは常磐津の大曲「関(せき)の扉(と)」で、歌昇の関兵衛が、まだ悪の要素が弱いものの、古怪な雰囲気を出そうと努めた。種之助の宗貞も難役をよくこなしたが、とりわけて見ものは中村児太郎の墨染(すみぞめ)で、宗貞の弟安貞の若妻としての物腰と、小町桜の精の本性を現してからの人ならざる者の迫力で、後半部を大いに盛り上げた。
「二人椀久」は、目遣いや気をかえる巧(うま)さもあるが、壱太郎との早間の連れ舞で、初代尾上菊之丞振付(ふりつけ)の新鮮な魅力を、久しぶりに甦(よみがえ)らせる健闘を見せた。((評・舞台)「双蝶会」「研の會」 迫力・バランス、頼もしく:朝日新聞デジタル)