2018年10月8日月曜日

渡辺保の劇評 2018年10月 歌舞伎座

十七代目、十八代目、そして勘九郎を比 べれば、そのイキの良さ、味わいからいえば十七代目。踊りのうまさでいえば十 八代目。しかし「千本桜」の佐藤忠信という役の本来のニンからいえば勘九郎が 祖父、父以上である。佐藤忠信は本文で行けば能登守教経と互角に戦う侍であっ て、ただの色男でも遊冶郎でもない。むろん色気も柔らかさも必要ではあるが、 それは芸の上でのこと。勘九郎はそのキッパリとした人物の描線のタッチの太さ において立派な忠信である。
祖父、父と演じてきたお役をただなぞるのではなく、自分の芸に練り上げているのは素晴らしいです。
この「助六」が今月第一の見ものである。前回東京の二十年前とは全く違って円 熟した助六。(2018年10月歌舞伎座)
20年ぶりということが、成長、円熟の芸になったのだと思います。