松也が幸助。若手の中の芸達者だが、和事の役をうまくこなした。今月の収穫である。 中車が幸助の入れあげた関取・雷(いかずち)。二度目だが、声を低くし関取の貫禄を出している。幸助に愛想尽かしする場面は緊迫感を漂わせた。 萬次郎の茶屋の女将お柳、笑三郎の幸助女房おきみもいい味が出て、心温まる芝居になった。(河村常雄の新劇場見聞録)