2018年12月21日金曜日

矢内賢二の劇評 2018年12月 歌舞伎座

梅枝は曾祖父(そうそふ)三代目中村時蔵譲りの古風な顔が豪奢(ごうしゃ)なこしらえによく映えて、実に堂々と落ち着いた舞台。景清との馴(な)れ染めを語るところにリアリティーがあり、「お前(まえ)も無事にとたった一口」のあたりには激しい恋情がほとばしる。  一方の中村児太郎はどこか寂しげな影が印象的で、箏の手を止めてふっと向こうを見る瞬間に深い哀れさが漂う。まず次代への継承は成功したと言っていい。(東京新聞:<評>「阿古屋」次代への継承成功 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」:伝統芸能(TOKYO Web))