2018年12月13日木曜日

天野道映の劇評 2018年12月 歌舞伎座

戦後、昭和ではほぼ六代目歌右衛門一人、平成では玉三郎だけがこの難役を演じてきた。しかも両者には時代の違いが反映されている。歌右衛門は戦争の、昭和の記憶をとどめ、恋人と共に生きる強い意思を示した。  戦争の時代は去り、玉三郎はいちずに恋人の追憶に沈んでいく。そこが胸を打つ。平成の夕映えの中で、過ぎ行く日々へ美しい鎮魂曲を奏でている。((評・舞台)歌舞伎座「十二月大歌舞伎」 胸を打つ平成の阿古屋:朝日新聞デジタル)