特に海老蔵の俊寛は、目をぎょろつかせて、やつれ果てた化粧で登場し、身体と精神の衰えが、このような捨て鉢な結果を生んだ。そんなリアルな解釈に基づいているように見えた。成否はともかく、こうした大作で、新しいやり方を試す自信と気力が海老蔵に備わっていることを頼もしく思う。(長谷部浩の劇評 TheaterGoer Directory)