2019年3月10日日曜日

渡辺保の劇評 2019年3月 歌舞伎座

今月の歌舞伎座は仁左衛門の「盛綱陣屋」が一番の見ものである。仁左衛門 大いに元気でもあり、やっていることがそう変わったとも思えないが、前回と 大いに違うのはその芸の円熟して派手なうちに情が濃くなったことである。そ のためだれが見てもよく分かるだけでなく、新しい視点にも誘っている。
又平夫婦の出になる。  猿之助のおとくが提灯を左手に、右手で白鸚の又平の手を握って出る。あま り見かけぬ型だが、その情愛がいい。七三へ来ておとくが手を放し夫の顔を見 てうなづき合い、それからあらためて手を取って本舞台へかかるまで。夫婦の 情愛、師匠へ名前のことを願う決心まで短い間にその情あふれるばかり。二人 の芝居で大いに満足した。(2019年3月歌舞伎座)
仁左衛門、白鸚の円熟の芸が光ります。寿猿を褒めているのは嬉しいです。