2019年8月4日日曜日

「夢見鳥」二代目中村吉右衛門著


著者自身が書名につけた「夢見鳥」は「蝶」の異名であり、吉右衛門の屋号「播磨屋」の家紋は「揚羽蝶」。この書名が著者の人生を象徴していると言っても過言ではありません。一代で名優にのぼりつめた初代の名跡を継ぐ宿命のもとに生まれ、その重圧に押しつぶされそうになりながら、先達に学び精進して芸を磨き上げてきた俳優人生は、日本の伝統芸能である歌舞伎を、真の世界遺産である舞台芸術にすべく、高みを目指す闘いでもあったことが、本書の端々から伝わってきます。人間国宝に指定された、そのいぶし銀の演技が育まれてきた半生を綴る言葉は、歌舞伎ファンのみならず、舞台芸術、ひいては絵画やクラシック音楽の愛好者まで魅了することでしょう。(夢見鳥 | 中村 吉右衛門 |本 | 通販 | Amazon)