2019年9月13日金曜日

矢内賢二の劇評 2019年9月 歌舞伎座

まずは昼の部「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく) 沼津」が見事なアンサンブルで感動的。中村吉右衛門の十兵衛は商人らしい明るい愛嬌(あいきょう)がいっぱい。しかし平作の話を聞くうちに平作を父、お米を妹と知ってひそかに愕然(がくぜん)とするところからが圧巻。「降らねばよいがな」の引っ込みの哀感、「落ちつく先は九州相良」の名調子から幕切れまで、わずか一夜の数時間のうちに怒濤(どとう)のように展開する運命に胸を揺さぶられる。(東京新聞:<評>感動的な「沼津」 歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」:伝統芸能(TOKYO Web))
 十兵衛の愛嬌、平作の滑稽味の前半から一変しての落差が見事です。