2019年9月5日木曜日

長谷部浩の劇評 研の會 国立小劇場

今回、安定した舞台となったのは、もちろんつきあってくれた先輩達の力によるものが大きい。相手役南郷力丸の彦三郎(初役とは驚きだ)、浜松屋では團蔵の日本駄右衛門、橘太郎の番頭、市蔵の浜松屋幸兵衛を得たために、舞台全体に破綻がなく、弁天小僧をたっぷりと演じることが出来た。
この芝居はシンが良いだけでは成り立たない、今回の配役は菊五郎門下の最適な配役でした。思う存分弁天小僧を演じられたのでしょう。
けれども、今回の『酔奴』は、一見、派手に見える竹馬の件りが、突出しない。この踊りの芝居ばかりがよく見えてくる。 仕方噺の件りも、物語が筋を追うことに終始せず、「噺」であること「語り」であることの芯がしっかりとしていた。 前半が丹念に作り込んでいたばかりではない。一曲、全体に技藝が充実し、踊ることの喜び、語ることの幸福が伝わってきた。三人上戸も、泣き、怒り、笑いがくっきりしている。顔の表情で、違いを際立たせるのではなく、まさしく身体が泣き、怒り、笑って芝居をしている。 また、じれる女房の風情がまたいい。ここでは女方の修業が生きている。 弁天小僧とめずらしい踊りの二題。右近の着実な進境を感じさせた。(長谷部浩の劇評  TheaterGoer Directory)

大変な踊りだと思いますが、一生懸命踊っているだけではなく、地方の語りにのって実に楽しく自由に踊っている、大満足でした。